4S7AHGスリランカよりCQ CQ
 1998年3月DXフレンドの一人である4S7EAアーネストから手紙が舞い込んだ。文面には「TS-930を修理しながら13年使っているが、もうプリント基板も剥離してハンダ付けが容易でなくなったのでリグを更新したい。ついては中古品の適当な機種を探して欲しい」と書いてあった。そういえば私も何度となくリペアーパーツを送ったことがある。いよいよ駄目になったかと思うとともに3年前に訪問した時もやはり表示部分の具合が悪く使いずらかった事を思い出した。そんなわけで、再度の4S7EA訪問と4S7からの運用を兼ねリグを持っていくことに決めた。4S7のCWは結構レアーだし、特に160mや80mのローバンドは逸品もの。私以外にも欲しい人がいるだろうと思い、訪問はローバンドのコンデションが良くなる秋以降としライセンスの手配をアーネストに依頼した。6月半ばに書類を送り待つこと3ヶ月、9月の半ばを過ぎたころ4S7YSG佐竹さんからのe-Mailには「今朝アーネストが迫さんのライセンスが得られるようになったと喜んで電話してきました」と記されている。待ちに待った日である。仕事のやりくりをつけ10月20日を出発日と決め航空券の手配をする。
シンガポールにて
 関空を飛び立ったシンガポール航空のジャンボ機は順調に飛行しシンガポールのチャンギ国際空港に着陸。約3時間のトランジット時間を利用しておいしいシーフードレストランがあるニュートンサーカスへとタクシーを走らせた。ここは前回も立ち寄ったことがあるので懐かしい。何軒かの屋台を覗き込んでカニ、エビ、焼き飯を注文する。出てきてびっくり、量が多いのだ、それでも何とか食べ終えて清算すべく伝票を見てギョギョギョ、140シンガポールドル(約2万円)、これは高い。空港で両換えした金額では足りない。現地紙幣に1万円札1枚を追加して支払う、これも旅の経験かと変に納得し、来た時と同じタクシーで空港に引き返す。道すがら運転手に話をすると「あそこはツーリストが行くところで値段も高く地元の人は行かないよ」だって。それならもっと早く教えて欲しかった。でも相談も何もしなかったもんね。運転手仲間では空港からも近くてそして安くおいしい店が並ぶ「イーストコースト」がお勧めとの事。皆さんはぜひこちらに立ち寄ってみてください。私も次回はそうします。
懐かしの再会
 再び機上の人となり約3時間、乗機はコロンボ空港に着陸。入国審査を無事通過して出迎えロビーに出るとアーネストと佐竹氏が深夜にもかかわらず迎えに来てくれている。佐竹氏とは今回初めてのアイボール、挨拶を交わし私とアーネストの間にe-Mailの取つぎをして下さった御礼を述べる。アーネストの息子4S7KAカヴィーの運転で自宅へと向かう。車中話で、CQWWコンテストXX9Xをオペレートし終えたW6XD他6名が訪ねてくることになっているのでジョイントミーティングを開こういうことになった。さぞかし賑やかなミーティングに成るであろうことを想像しているうちに車はコロンボ市内に入り、佐竹氏の宿舎であるヒルトンタワーで彼を降ろし午前1時ごろアーネスト氏の自宅に到着。XYLのチャンドラさんがにこにこして歓迎してくれる。3年ぶりの再会である。「SAKO」あなたは何日くらい滞在するのかとたずねるので10日位と言うと、まあ長いわねと笑っていた。おじゃまします。HI。早速大事に抱きかかえてきたキャリングバッグから「TS-780S」を取り出して「TS-930」と場所を移し変えシャックの真ん中にセットする。アーネストご自慢のモズレー2エレ、キュビカルクワッドを接続し14メガをワッチするとヨーロッパが良く聞こえる。明朝9時に電監に行ってライセンスを貰うので今日はこれで寝ようと,蚊帳の張られたベッドに付いたのが深夜2時半頃だった。それにしても蚊帳の中に寝るのは何十年ぶりだろう、子供のころが懐かしく思い出される。
ライセンスについて
 スリランカは現在反政府組織と内戦状態のため、次のような経路で申請が受理されていく。
1)国防軍(ディフェンス)
2)特殊警察(ポリスオフィス)
3)電波監理局(TRC)
1,2へ申請して許可が下りるのが2ヵ月半から3ヶ月くらい。この許可書を持って電波監理局に出向き手数料(500ルピー)を払うとOK。コールサインは3通りあり、現地人には4S7--(主に名前のイニシィヤル)、ビジターとして4S7--G(ゲストの意味で必ず最後にGが付く)、又は4S7/ホームコールサイン。サフィックスは空いていれば希望のものがOK、有効期間は現地人以外は1年間、再免許は電波監理局だけにだけ手続きをすれば良い。私が携帯していたのも1,2からのコピーで、日本と違い郵政大臣だけでは無線は許可されない。
4S7BRGとのアイボール
 10月24日土曜日、4S7EA,4S7YSG,4S7AHGの3名は4S7BRGマリオのシャック訪問のためコロンボより南へ72km離れた町アンバランゴダへと車を走らせる、道中はとても景色のきれいな海岸道路を快適にドライブし所要時間は片道2時間、途中インド洋のビーチが特に美しいリゾートホテルでの休憩を取りながらのドライブとなった。マリオ宅に到着するやセパードの番犬君が図太い声でお出迎え、ご主人様のマリオになだめられてハウスにご退場、挨拶もそこそこにアンテナ見学から始める。庭が広い、そして優に20mを超えるような椰子の木が5−6本生えている。面積を聞くと1エーカーを越えると言う。こんな恵まれたところでハムが出来るのがうらやましい。3本の椰子の木を利用してヨーロッパ向けに18,24メガの2エレデルターループ(固定)と14,21,28メガトライバンド八木(手回し)、それに7メガダイポール。100Wでもこの高さだとEU、JAによく飛ぶはずと納得する。彼はスイス警察を定年退職しスリランカ人の奥さんとここで悠々自適の生活をエンジョイしている。悠々自適とはまさにこういうのを言うのかな。日本とはスケールが違う。奥さん手作りのおいしいチョコレートケーキを御馳走になった後、記念写真を撮って失礼した。後日談:彼も160メーターにトライするそうです。仲間が又増えそうで楽しみです。
XX9Xがやって来た
 10月28日夜8時、W6XD、 AB6BH、 K6MC、 婦人たち6名がアーネスト宅にやって来た。チャンドラ自慢の魚で作ったミートボールをつまみながら、コンテストの成果やVP8SSI、及びピーター1世島(3Y0PI)へのDXペディションのエピソードを聞くやら楽しい時間を過ごした後スリランカカレーを食しながらAB6BHのXYLからぜひ今度はUSAに来るようにとの招待を受けた、ただし料理はここのように美味しくはないがドッグフードよりはましなアメリカンフードで出迎えるからの一言で全員大爆笑。4S7YSG談、この様な国際ミーティングは初めてでとっても嬉しかったと。
トップバンドのアンテナ
アーネスト宅の敷地は南北に25m東西に18mの長方形をした形となっている。JA方向は北東でEUは北西に当たる。南の端に高さ20mくらいの松の木があり、北の方向に高さ25mくらいの椰子の木がある。この間45メートルありそうだが2軒向かいの人の屋敷の木である。自分の敷地内でアンテナ工事をするように指示を受けているのでこの椰子の木は使えそうにない。しかし垂直部15メートル以上取れるのは南端の松ノ木以外はない。手伝いを雇って南端の松の木15メートル位のところにエレメントに碍子をつけて縛って貰い斜めに張り残りの部分を地上高1メートルくらいで北の端より給電した、ラジアルは北と南に2本敷地内を回す。SWRは持参のMFJ-259で1.4以下に調整できた。10月22,23,24日と連日CQ CQと叩けども応答なし、それどころか聞こえもしない。変だなあ....。ある日4S7YSGより「VK6でRST579で聞こえた様だ」とのレポートが入る。南にビームが出ているようだ。こうなったら北の椰子の木に架けるしかない。再び手伝いを雇って、あの椰子の木にエレメントを架けたい何とかしてくれと頼むと「あそこはうちの木だからいいよ」との返事。超ラッキーをアーネストと万歳して喜ぶ。さっそくエレメントを椰子の木に架け敷地内に引き込む。今度は垂直部は20メートルはある。残りエレメントを南に向けて斜めに地上高1メートルくらいに張り、端より給電。ラジアルも北方向に少しは長くなる。26 27 28日とCQ CQしかし聞こえるのはノイズだけ。このまま160mノーQSOで帰るわけには行かない。28日JF2MBF市野氏と24メガでQSO。彼は8Q7で160mをオペレートし私もQSOしている。彼よりアンテナ図面のFAXを貰い29日に手伝いを雇って再製作。出来たぞ南の松の木と北の椰子の木の間に垂直部20m水平部20mの逆L、給電は北の垂直部より行いラジアルも北に40m南に25mこのアンテナで飛ばなければ諦めるしかない(出来上がってみれば敷地より随分とオーバーハングしたなあ....)今日は最後の日だ。20:21z 1828KHzでCQ CQを叩く。すると微かに聞こえる「・・3IR ・・3IR QRZ QRZ OH3IR OH3IR」コピーできた!  アーネストと共に160mQSOを祝し片手を振り上げガッツポーズ。CQ JA CQ JA QSX1909を出すが残念ながらJAとはQSOにいたらなかった。EUとはOH3IR、 HA0DU、 SV2AVPはじめ10局をログインした。このアンテナをアーネストが現在も使って私が出来なかった160mのJAサービスに努めているので、今後に期待して欲しい。トップバンドで4S7がニューコンファームの方が一人でも増えてくれればこの上にない幸せです。最後に長期滞在にもいやな顔ひとつせずに世話をしてくれたXYLのチャンドラさん、現地での案内や面倒を見てくださった4S7YSG佐竹さん、国際電話でFAXを送ってくれたJF2MBF市野さん、我が家と同じような無理を聞いてくれた良き友4S7EAアーネストさん、そして最後にたくさんのコールを浴びせてくれたJAの諸士本当に、ありがとう、ありがとう。AYUBOWAN(アーユーボーウァン)。 
来訪者のサイン帳(JAからのサインも数多く見られる)
4S7AHGを運用する (4S7EAのシャックで)
DL Friend
JA4AHV